カーボンニュートラルにミスト加工

切削用工作機械のCO2排出削減にミスト加工を

切削加工を行う工場でCO2排出削減を進めるための最も効果的なターゲットは以下の3つです。

  1. 切削油の使用量を減らす
  2. 切削油を循環させるポンプの消費電力を減らす
  3. 切削油の廃液処理を減らす



石油で精製される切削油は製造の過程で大量のCO2を排出します。つまり切削油を大量に使用することで多くのCO2を排出していることになります。
    

切削加工を行う工場ではクーラントポンプの消費電力がかなり高い割合を占めます。近年ポンプの高圧化と、それに伴いチラー等の周辺機器も増えるため、消費電力はさらに増えています。
    

切削油は腐敗するために定期的に交換が必要です。数百リッターの削油を廃棄処理する際にかなりCO2を排出ることになります。

    
これらのCO2の排出量はミスト加工を導入することで大幅に削減できます!


  1. 加工に必要な切削油をミスト化してピンポイント供給することで使用量削減
  2. ミスト加工にすればポンプは必要ありません
  3. ミスト噴射した切削油は使い切りですので廃液処理がなくなります


様々な加工のミスト化には水溶性ミストが必要

切削加工で使用する切削液には油性(不水溶性)と水溶性があり、自動車部品など産業部品の切削加工現場では、加工速度の高速化や消防上の問題で水溶性切削油が多く使用されています。一方でこれまでミスト加工(セミドライ加工・MQL加工)といえば油性切削油をミスト噴射するのが主流でした。しかし油性切削油では冷却効果が低いため発熱量の多い加工や溶着を伴う材料(アルミ・ステンレス等)には使用することができず、一部の限られた用途にしか普及しませんでした。それであれば冷却効果の高い水溶性切削油をミスト噴射すれば良いのですが、従来方式のミスト装置では油性切削液はミスト化できても水溶性切削液をミスト化することは難しく、特に内部給油方式と呼ばれる工作機械の内部配管を経由(タレットスルー、スピンドルスルー等)してミスト噴射することは非常に困難でした。



ケイエステックのエスリムは水溶性切削油をミスト噴射できます

エスリムは独自の特許技術により油性・水溶性にかかわらず工作機械の内部配管を経由(内部給油方式)ミスト噴射することができます量産部品の加工ライン等でミスト化を実現するためには内部給油方式でいかに応答性よくミスト噴射できるかが重要です。お客様が普段使用している水溶性切削油をそのままミスト噴射して加工できます。


ミストの応答性が重要

ミスト装置の性能はミストの応答性が一番重要です。外部給油(外掛けノズル等)で噴射できても、内部給油(タレットスルー・センタースルー等)で瞬時にミスト噴射できなければ量産ラインでは使用できません。エスリムは独自開発のポンプシステムにより内部給油でも瞬時にミスト噴射できます

 

マシニングセンターでのミスト加工映像

   


NC旋盤でのミスト加工映像

 

ミスト加工でもクーラントポンプと同等以上の結果

現状のクーラントポンプと比べてミスト加工では刃具寿命はどうなのか?ドリル加工で比較してみました。

被削材:SCM440H(300HB) 工具:超硬コーティングドリル5φ  穴深さ:40㎜(8D)
切削条件:周速 100m 送り 0.25㎜/rev  切削油:エマルジョン(水溶性切削油)
加工数:1870穴(切削長 75m) クーラントポンプ圧:1.5Mpa  ミストエアー圧:0.5Mpa

自動車部品の材料としても比較的難削材とされる合金鋼を熱処理で硬度を300HBまで上げ、周速100m送り0.25/revの高速条件で比較テストしました。全く同じ液を使用して供給方法のみを変えたテストでしたが、ミスト切削はクーラントポンプと比較しても遜色なく、むしろ溶着による欠損がない状態でした。今回のテストはどちらも新しい液を使用していますが、実際はクーラントポンプで使用する切削油は日々劣化していきます。しかしミスト加工は少量の使い切りですので、常に新液の状態で加工するため品質の劣化がありません

 

アルミ部品のセミドライ加工に

アルミは切削加工時に溶着が発生しやすいため、従来の油性ミスト(MQL)では冷却が足りずにセミドライ化は困難でした。水溶性切削液をミスト噴射すれば溶着を抑えることができるのですが、従来の油性ミスト用の装置では水溶性切削液をミスト噴射することはできません。エスリムは独自のポンプ技術により水溶性切削液もミスト噴射できますので、アルミ部品のミスト化を実現します

 対象部品:シリンダーブロック、シリンダーヘッド、ピストン、マニホールド等

ほとんどの工作機械メーカーに取付できます

水溶性ミストはMQL専用に設計された特殊な工作機械でないと使えないと思われていませんか?エスリムは通常のセンタースルー仕様の工作機械でミスト噴射できますので、工作機械メーカーの選定に制約がありません

量産ラインでの実績も豊富です。

エスリムは独自の開発のエアーシリンダーポンプを使用しています。市販のダイヤフラムポンプ等ではありませんので、短期間で消耗する部品がありません。また保全性を高めるため故障した部品の交換作業がしやすくなるように改良を重ねております




切断機にも水溶性ミスト!

切断機には油性ミストで加工するケースが多くなっていますが、アルミのように溶着する材料の場合や切断スピードを上げたいといった場合に、油性ミストでは冷却不足を感じるケースも多いと思います。エスリムのKSM-C001Pは後付けで切断機に取りつけることができますので、クーラントポンプを使用することなく水溶性切削液をミスト噴射でき、発熱の大きい加工にも対応することができます。またM信号でプログラム運転に対応したり、リミットスイッチを利用してヘッドが移動したらミストを噴射するようにすることもできます。