水溶液(切削油・研削油・洗浄液など)を希釈する際に使用する希釈装置。エアーも電気も使わず水道の圧力のみで負圧を発生させ原液を吸い上げるベンチュリ式希釈装置についてご説明します。

ベンチュリ式希釈装置とは
主に切削油の希釈作業の省力化に用いられる装置です。一般的に原液の入ったペール缶やドラム缶に取付け、水道からホース等で水を供給します。一旦任意の濃度に調整すれば、その後はバルブを開くだけで希釈液が吐出ホースから出てくる大変便利なものです。精密なポンプや計測機を使用しないため、高性能の希釈装置と比べて精度は劣りますが、その分安価で使用することができます。

バルブを開くと水道の水圧で放水されます。水が装置内の絞られた経路を通過する際に、ベンチュリ効果によってその周囲が負圧になります。装置内の経路は原液を吸い上げるホースとつながっているため、負圧によって原液が吸い上げられ、水と混ざって吐出ホースから出ていきます。原液が通る隙間の面積を調整することで、原液が流れる量を変化させられますので、吐出される液を濃度計で確認しながら任意の濃度になるように調整します。一旦調整すると水圧に大きな変化がない限り、バルブを開くだけで一定した濃度の希釈液が作れるというわけです。
理想的な希釈効果が得られる
ベンチュリ式希釈装置のメリットは希釈作業の省力化だけではありません。手作業で希釈するよりも高品質の希釈液をつくることができます。水溶性切削油を手作業で希釈する際、原液がうまく混ざらず不純物のように液面に浮いていることがよく見受けられます。こうした浮上油はクーラント液が空気を取り込むことを阻害するため、腐敗速度を早めてしまいます。また均一に混ざっていないため切削性能も本来の効果を発揮できません。これは原液が水に混ざる時よりも、一旦希釈された水溶液に混ざる方が溶けにくくなるからです。手作業で希釈液を作る場合、水を容器に貯めてから原液を投入しますが、最初の液がすぐに水に溶けますので、途中からは水溶液に原液が触れる形となり、だんだん溶けにくくなるのです。
一方ベンチュリ式希釈装置は水と原液が常に一定の割合で連続的に混ざっていきますので、原液を最後まできれいに混ぜることができます。


ベンチュリ式希釈装置の注意点
【一定の水圧で使用すること】
濃度設定した時と水圧が変わると濃度が変わってしまいますので、濃度調整した際の水圧を記録し、都度水圧におおきな変化が無いか確認して使用する必要があります。
【原液の動粘度が濃度に影響】
水溶性油剤の原液はその種類によって動粘度が異なります。動粘度が高いほど粘り気が強く、同じ負圧でも吸い上げられる量は少なくなりますので、その分濃度は薄くなります。
【周囲温度の影響】
油は温度によって動粘度が変化します。濃度設定した時と気温が大きく変化すれば濃度も変化しますので、できるだけ温度変化の少ない場所で使用するか、季節の変わり目ごとに濃度設定を見直す必要があります。
【吐出ホースの先にバルブ等を付けるのはNG】
希釈装置の吐出ホースの先に絞り(内径を細くする)を入れると、水の放水速度が制限され負圧が発生しなくなります。吐出ホースにバルブ等をつけたり、延長したりすると希釈が正常に行われなくなる可能性がありますので注意が必要です。
【使用後のサイフォン現象に注意】
希釈装置を使用後バルブを閉めると水道は止まりますが、原液だけが吐出ホースから少しずつ流れ出る場合があります。これは吐出ホースの先端がタンクの液面につかっていたり、吐出ホースを長く延長したりすることでホース内に空気が入らないため、サイフォン現象が発生して、原液だけが流れ出てしまうのです。灯油ポンプと同じ原理です。バルブを閉めた後に吐出ホース内の液をしっかり抜くようにするか、ホース先端を原液の容器よりも高い位置に固定するようにしてください。吐出ホースを固定して使用したい場合は、ホース先端部分をタンク液面に触れない位置に固定し、そこから原液容器の液面より高い位置まで立ち上がりを設けるようにしてください。そうすれば、バルブを閉めた後にその立ち上がり高さまでは重力で液が抜けますので、サイフォン現象は発生しません。
ケイエステックの自動希釈バルブの特徴
ケイエステックの自動希釈バルブの特徴をご紹介します。ベンチュリ式希釈装置に興味があればぜひご検討ください。
【自動希釈バルブは水圧計がある】
ベンチュリ式希釈装置は水圧が重要な要素です。バルブ解放時に十分な水圧(通常0.1Mpa以上)がないと希釈できませんし、濃度設定時の水圧が基準となるため都度水圧を確認する必要があります。希釈装置に水圧計が無いと安定した希釈が正常に行われているか確認できません。

【豊富なラインナップ】
ケイステックテックの自動希釈バルブはお客様の用途に合わせて様々なラインナップをご用意しています。
➀鉄配管や壁に固定して使用するタイプ KS-ADV2

➁ペール缶に取り付けるタイプ KS-ADV2S

③ドラム缶に取り付けるタイプ KS-ADV2D

④原液用ポリタンクが付いたタイプ KS-ADV2P

特に原液用ポリタンク仕様KS-ADV2Pはケイエステックのオリジナルです。ペール缶やドラム缶に取り付けるのが使いやすいようですが、「原液の残量がひとめでわからない」、「容器の入れ替えが面倒」といった課題もあります。KS-ADV2Pは原液用ポリタンクに原液を追加していくだけなので、入替の手間はありませんし残量もひとめでわかり大変便利です。
【水溶液自動供給装置やタイマー仕様も】
自動希釈バルブを活用した水溶液自動供給装置は希釈作業のみならず、タンクへの供給自体を自動で行う画期的な商品です。また事前に設定したタイマーで自動で供給を停止する仕様もございます。ぜひそちらのページをご覧ください。